突然後ろから、井竜に抱き締められた咲。
咲「わ・・分かったから とりあえず離れて」
井竜「でも このままの方があったかくていいじゃん」
咲「だから やっぱ帰ろうって」
井竜「やだ」 <本当は俺が1番帰りたくない。何もできないまま 明日あいつのところに行かせたくない>
咲「井竜・・くんあのさぁ 付き合ってもない人同士でこういうことは・・」
井竜「じゃあ付き合って」
咲は井竜の手をベチっと叩きます。
咲「いくら暖をとりたいからって、さすがにそれはダメです。好きでもない相手に、そういうこと言うのは良くないと思います」
井竜「だから 好きな相手にならいいんでしょ?」
咲「は?井竜くんが私を? 今までそんな気配、井竜くんから感じたことないけど」
咲はお菓子をポリポリと、食べながら答えます。
井竜「だろうね。だって俺も 今日気づいたんだもん」
咲「今日って 嘘丸出しじゃん」
井竜「ほんとだってば(本当)」
咲「あっそ。では丁重にお断りしますね。私もっと優しい人がタイプなので」
井竜「俺 スウェット貸したじゃん。超優しいじゃん」
咲「じゃあ返すよ」「いいって。着てなって」「いや、返すし」
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ベンチでジタバタしている二人を、亮介が声かけます。3人で公園から帰ることに。その間も井竜は静かです。
<もう俺にできることなんか、何もねんだな。そんで明日になって そんであいつと。くだらねー ふざけんな。先に会ってたのは俺のほうじゃん>
無口な井竜に体調でも悪いのか?と亮介が尋ねます。「大丈夫っす」と即答する井竜。
<もし明日 俺が体調を崩せば、ワンチャン、二人の邪魔できんのかな。・・・って さすがにそんなことしたくねーよな>
家に帰り井竜のスエットを眺めながら、風邪引いていないといいな・・と思う咲。明日は代わってあげられないから・・それにしても明日も陽希の話したいことは何だろうと思う咲。
<葉月ちゃんを知った後では、無邪気に期待できてた あの感覚には戻れないかな>
すると葉月から LINE が入ります。今日のお礼とバイト先の亮介の様子を聞きたいみたいです。
<もし陽希が葉月ちゃんのこと好きだったら・・自分の好きな人の好きな人が 自分のお兄さんってどんな気持ちなんだろう。
ーーって不確かなことを思い悩んでも仕方ない。明日には全部わかるんだから>
次の日。改めて二人で出かけるのは初めてで、緊張している陽希と咲です。
プラネタリウムのプログラムはたくさんあり、咲が見たいプログラムの一つ前のプログラムのチケットを買ってくれていた陽希。
違うプログラムもまた来なきゃだね〜と言ってくれる陽希に
咲<また一緒に来ようって 言ってくれてるなら嬉しいけどな>
プラネタリウムが始まる前から、部屋は青暗く幻想的。黙ったままそばにいるのは余計緊張する咲。
<陽希は今 何を考えてるのかな。今日が終わった時、笑顔の私がいるといいな・・>
と思い目を閉じる咲。
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トントン。 陽希に肩を叩かれ、目を開ける咲。なんとまるまる・・ プラネタリウムの時間、眠ってしまっていたのです。何度も謝る咲。
陽希「また行けばいいだけじゃん。てか俺は、今日のも忘れられない思い出になって楽しいけど。
多分一生忘れないと思う。嬉しかったし、俺は」
何で??と思う咲。
陽希「無防備に寝てる藤ヶ谷見たら、俺には気を許してるのかなって思えて。だから嬉しかった」
この空気もしかして・・・陽希の話したいことって??
ここで咲が話を切り出そうとしますが。近くを歩いていた親子の会話が耳に入ります。
小さな男の子が「誰かがグーグーいっぱい寝ていた」と話しているのです。咲は自分のことだと顔が真っ赤・・・二人は変な空気になり、陽希も気を遣っている様子。
咲「寝ちゃったあげくいびきまで!?最悪。ほんとごめん!恥ずか死ぬ!消えたい!」
実は咲。あれから夜中の3時まで葉月とLINE のラリーが続き、寝不足だったといいます。そんなことを聞いた陽希の顔。これは言わない方がよかったのかな・・と思う咲。
陽希の表情を見ると・・・先に自分の聞きたいことが溢れてしまいます。
咲「葉月ちゃんに対する、陽希のその気持ちって何?」
陽希「え・・?・・その気持ちって別に。幼馴染ってだけだよ」
咲「陽希は 葉月ちゃんのこと好きなの?」
陽希「違う」
咲「じゃあ前に好きだった?葉月ちゃんからの手紙を、亮介さんに渡せなかったのは。葉月ちゃんを好きだからじゃないの?」
陽希「・・そうだったとしても。今 葉月関係ないじゃん。俺は今の話がしたい」
咲<じゃあ何ではわだかまってるの?関係ないって言い切れるほど 吹っ切れてるようには見えない。もしかしたら陽希は まだ今も葉月ちゃんが好きってことに 自分でも気づいてないだけなんじゃないの?>
そこに咲の携帯に LINE で連絡が。
咲「えっ?ウソっ」
陽希「どうしたの?何かあったの?」
咲は急いで帰らなきゃ・・バイト先から井竜が熱を出したと連絡があったと言います。
咲「代わりに入れる人 探してるから」
陽希「それ藤ヶ谷が行かなくちゃいけないの?さすがにおかしくね?そういうの全部引き受けてたらきりないじゃん」
咲「・・うん・・でも井竜くんが熱出したの 私のせいなんだよね・・・
だから今日はごめん。私行かなきゃ」
もう少しで通じ合えて、両思いになりそうな二人なのに!!ここですれ違うのでしょうか??何だか気持ちが不安定なまま離れてほしくはありませんが・・・果たして井竜の熱は本当なのか??でも井竜の性格からすると、きっと本当に熱が出てしまったのでしょうね。この三角関係、次回も目が離せません !!
——咲坂伊緒 新連載「サクラ、サク。」24話 別マ 2月号2023 あらすじ・ネタバレ・考察・感想へ————咲坂伊緒 新連載「サクラ、サク。」24話 別マ 2月号2023 あらすじ・ネタバレ・考察・感想へ——