RIDE.394
手嶋「オーダー変更だ!!」
小野田「え」
それが総北キャプテン手嶋の判断でした。
状況が想定とは違い、もう先頭は動いている!先頭集団はここよりも先で勝負をしている。総北もとにかく早くトップ争いにメンバーを出さなければ!
手嶋「箱根学園か・・いやおそらく京伏が早々にしかけて、それに追従する形で、もう片方のチームから有力選手が前に出てる!!追いついて胸をなでおろして、ふりだしに戻したと思ったオレたちは・・・今、完全に遅れをとってんだ!!」
手嶋はオーダー変更を小野田に伝えて、背中を押します。するとそこで今泉が前に飛び出しました。
手嶋「今泉と2人で榛名山の登りを駆け上がり、何としても先頭に追いつけ!!」
坂道は突然の判断になかなか頭がついていきません。
小野田<先頭・・・!?今泉くんと・・・!?真波くん・・・!!>
手嶋「いっけ小野田ァ!!」
しかし、小野田は動きません。
銅橋「どういうことだ!?一番が出ねェ!!」
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少し前に飛び出た今泉が、後ろの坂道をチラっと見るのです。
小野田「あ、すいません!!いえ、わかってます、すいません!わかってます・・・わかっ・・・!!」
真波との勝負が出来ないことは分かっていた坂道。そしてようやく覚悟を決めてハンドルを強く握りしめます。
再び坂道の背中を手嶋が押し、坂道は先に向かいます!
小野田「ごめん、真波くんボクは・・・ボクは・・・!!先にいくよ」
あっという間に駆け上がっていく坂道。それを見ながら理解をしている様子の真波。
真波<目的のためには積み上げてきたものを捨てる。それを一瞬で判断しなきゃならない・・それがロードレースなんだよね。だけど、そのひとつひとつ、つらい判断を選んだ分だけ。強くなるんだよね 人は。>
真波「次の勝負が楽しみになっちゃうでしょ!!」
やっと先に飛び出した今泉に坂道が追いつきました。
今泉「とにかくオレたちが今できることは、ひたすら回して先頭に追いつくことだけだ」
「うん!」と返事をする坂道に今泉はこう続けます。
今泉「すまなかったな。勝負させてやれなくて」
坂道の小さなわがままを直接聞いていた今泉は気にしていたのです。
小野田「あ、いや、いいんだ!もともとボクはチームのために走りたいんだし、 勝負は二の次で・・・で・・・
ほ、ホントは・・・本音を言えるなら・・・がっかりはしてるけど」
今泉「大丈夫だ!また次がある。まだレースは終わってねェぜ?オレはおまえに何度も助けられた。」
何の事だか見当がつかない様子の坂道。
今泉「次、自分のやりたいことあったら。オレが全力でおまえにチャンスをつくってやる」
こんなことを言われて坂道は照れてしまいます。
小野田「うん!!ありがとう!!」
ここから全開ペースで追いつくぞ!と勢いを増す今泉と坂道。
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鏑木「てゆか!! まってください手嶋さん!おかしくないすか!?え!? 皆、そんなに山岳賞ほしいんすか!?
11番とか111番とかエース出して、山岳にマジすぎでしょ!?」
手嶋「鏑木・・・気づいてないのか・・・この状況になっても。この2日目はちょっと特殊なんだ。コースレイアウトが今までと違う。
しっかりコースマップ見てりゃ想像できる。 ここまで早く動くとは思ってなかったけどな。
京伏が早々に動いたのはそいつを狙ってたからだ。箱学がエースを出したのはそれを奪われたくなかったからだ
今日・・・2日目この先は山岳ラインと・・・ゴールラインが近いんだ!!先行したヤツらが狙ってるのは「山岳」じゃない。
その「山岳」の先にある「ゴール」だ!!」
京伏の3人が果たして先頭なのか?その前には箱学がいるのか?すぐ後に坂道と今泉が迫ってきています。