パーフェクトワールド 最新 漫画 ネタバレ56話(KISS 2020年11月号)あらすじ・感想・考察
日差しが優しくなり始めた頃 紘樹と迎える4回目の春。
5月は紘樹の誕生日だ。わんぱく盛り、言葉もたくさん覚えて質問攻めの毎日。
私達家族には一つ、やっておかなければならないことがある。迎えられた子供には自分の出自を知る権利がある。
「真実告知」特別養子縁組であることを
もう一人母親がいることを
紘樹に伝える日が近づいていた。
車椅子バスケの仲間達と、ご飯を食べる樹家族。話題は真実告知の話に。2人が子供を欲しいと思ったきっかけの風太くんもいます。
その石橋さんが、引退をするというのです。去年から褥瘡で長く入院していたため、体力もガタッと落ちてしまった・・自分でできたことが年々できなくなっていくよ・・という石橋さん。
樹も最近小さな褥瘡ができて、今の車椅子が合わなくなり・・新しいものにするというのです。
帰りの車の中。後ろですやすや眠る紘樹。そして二人はどのように真実告知をすればいいか・・と話をします。
しっかりした場を作るとびっくりして怖がるかもしれないか、ら出来る限り自然に紘樹が利用しやすいような流れで話ができるといいな・・・
スポンサーリンク
樹はあの身体能力の高い石橋さんが弱ってしまうことに、自分を重ねてしまったようです。
樹「石橋さんの言う通りだ。今できることはできるだけやって、家族の思い出たくさん残したい。俺は子供の頃早くに父親を亡くしたけど、それでも父親との思い出残ってるもんな。
江ノ島の展望台に登ったこととか、楽しかったって強く記憶に残ってる」
つぐみはその時の、小さな樹の写真を思い出します。
そして江ノ島は二人で行ったけれど、車椅子が無理で展望台までは行けなかった場所。
樹「まぁ、行けるわけがない。あそこは地形的にバリアフリーにはできないから、絶対に無理。あの展望台からの景色だけは、俺がもう見ることはできないよ。こればかりは仕方がない。
二人で行った場所までなら、家族で行くのもいいよな。紘樹 まだ海見たことないから。
そして樹は新しい車椅子に。前回よりも全体的に軽量化していると言います。車椅子スタッフの人たちも
「操作性も乗り心地も向上しているから、これでガンガン出かけてってください。家族旅行とかサポートできることないですか?」
そんな言葉をもらいつぐみは「江ノ島の展望台までは無理ですか?」と尋ねるのです。
車椅子スッタフの人達は、何やらパソコンで検索し始め・・・なんと車椅子でも展望台に行った人たちがいると言うサイトを見つけたのです。
つぐみ「すごい行った人たちがいるんだ。でも大人数でないとやっぱり難しいですね」
スタッフ「計画されてるんだったら、僕らと一緒にどうですか?一応車椅子のプロだし」
つぐみ「いやっでもっそんなつもりでは・・」
スタッフ「考えてみたら鮎川くんとは10年以上の付き合いなのに、一度もそういうことしたことなかったし」
樹「いやいやそんな 悪いですよ。大丈夫・・」
樹がそう言おうとした瞬間に
つぐみ「ぜひっお願いします!!」つぐみは頭を下げたのです。
「展望台まで行けるなんて夢みたいです。ありがとうございます!」
家に帰ってからつぐみは、今日の出来事にウキウキしています。でも樹はそうではないようです。
つぐみ「樹 展望台行きたくない?二人で行けなかった思い出の場所に、今度は家族で行けるんだよ」
樹「それはそうだけど。行けてた所に行けなくなるって、すごく悔しいことだって。夢にまで見るほど思い知らされたよ。
でもそんなことは仕方ないってとっくに割り切ってる。日常生活以外のことで、人に迷惑かけてまでやりたいとは思わないんだよ」
つぐみ「樹はいろんな大変なことを できる限り自分の力で乗り越えようと頑張って、道を切り開いてきた。そういうところを尊敬してる。
でもこないだ樹が行けるわけないって言った時、私あれ本当にそうかなって思ったの。
初めて東京で再会した時「恋愛は出来ない」って言われたこと思い出して。
恋愛・結婚・子供・・私たちの前にはいつもできるわけない、できるのかな・・そういう壁があった。
でもみんな超えてきたよ、私たち。
昔できなくて悔しかったことができるようになったら、それは過去を取り戻すことにもなると思うの。
それに樹だけじゃない。私だって年月とともにできないことが増えていく。今できることはできるだけやりたいって私も思ってる。
助けてもらって出来ることが増えるのなら、その方がずっと良くないかな。頂いた好意は私達が出来る限りのことで返していけたら」
そんな話をしていると・・紘樹が椅子に登って、あるものをじっと見ているのです。随分熱心に・・そして静かに。何を見ているのかと思ったら、なんと江ノ島のホームページです 。
こどもは大きくなり、私たちは年を重ねて行く。
こんな風に過ごせる時間は永遠じゃない。だから障害と向き合う家族として、次の階段へ。少しずつ生活スタイルを、変えていかなければならない。
スポンサーリンク
そして江ノ島へ行く当日。紘樹は嬉しくて仕方がありません。車いすスタッフのみんなも自分達が来たくて来たんだから・・と言ってくれるのです。
階段を交代で登らせてくれます。せっかくだからゆっくりと観光しながら ・・
<ひたすら階段を登って行く。前へ前へ 樹も頑張ってる>
そして展望台に到着!紘樹は「てっぺんだ!てっぺんだ~みて!ふね!はやく!ねぇおとうさん!!」と興奮気味にはしゃいでいます。そんな姿に自分の子供の頃の記憶が重なる樹。
そしてこの場所は昔お父さんが、お父さんのお父さんと一緒に来たところだよと教えてもらうのです。
紘樹「松本の じいじ?」
樹「えーとね松本のおじいちゃんじゃなくて、お父さんにはもう一人お父さんがいたんだよ。今はもういないけど、優しいお父さんだったんだ」
紘樹「お父さんがふたりもいるの?なんでー?」
二人はお互いの目を合わせ・・<今 伝える?>うなずきます。
つぐみ「あのね紘輝 お父さんやお母さんが一人じゃない子っているんだよ。紘樹にもお母さんがもう一人いるんだ」
紘樹は何も言いわずに話を聞きます。
つぐみ「紘樹を産んでくれた、もう一人のお母さん。そのお母さんのところから、紘樹は来てくれたの」
樹「紘樹が来るの、お父さんたちずっと待ってたんだよ。だから来てくれた時はすごく嬉しかった。ありがとう」
<今日の言葉を 紘樹がどう受け取ったのかまだ分からない。この子が成長した時、私たちは家族でいられるのだろうか。
だけど少なくともここに家族でこれたことは、一生記憶に残るものになった>
樹はまたここからの景色が見れたこと、真実告知も始められて良かったと言います。
「ここに来れたのと来れなかったのとじゃ大間違いだった。つぐみの言う通りだったよ。最初から決めてたの?ここで言うって」
つぐみ「ううん、決めてたわけじゃないけど。でもこの場所だったら、自然と言葉になるかもって。そういう風には思ってた・・ 」
まだ4歳の紘樹には分からないことだとは思いますが・・でも何かは伝わっているのでは??と思います。それを小さいうちから伝えていこうとしている、樹とつぐみの姿勢はとても素晴らしいと思いました。
親子の形は人それぞれ・・・これからもこの3人を守っていきたいと思います。